3.歯根端切除

 セラミックの治療を受けて一年半後のある日のことであるが、鏡を見ていると、前歯の歯茎の上のほうに直径3ミリくらいのマメのようなものが出来ているのに気がつきました。触っていると潰れて、膿のような白い液体が出てきました。そのときは「なんだこりゃ?と思い、大して気にしていなかったのですが、一週間後くらいに再度同じ場所に同じようなマメが出来ていました。さすがにおかしいと思い病院に行くことにしました。

 病院にいくと、すぐにレントゲンを撮影されました。レントゲンをみせてもらうと、セラミックスにした前歯二本の歯の根元付近に丸く黒い影がありました。中央側の歯の根付近の影の方が、中央側ではない歯の根付近の影より大きかったのを覚えています。医師によると、歯の根付近で菌が繁殖し病巣が出来ており、その部分が化膿し膿ほうができたため、歯茎にマメのようなものができたとのことでした。さらに、この膿ほうは、治療をせず放っておくとどんどん大きくなり、いずれはセラミックスの歯を抜歯しなくてはいけなくなるとも聞かされました。

 せっかく高い費用を払い、セラミックスにしたのにどうしてこのようなことが起こったのか医師に問うたところ、医師曰く「セラミックスのコアの部分を入れたとき、消毒がきちんと行われていなかったため、雑菌が繁殖し、膿ほうができたのでしょう」とのことでした。

 私はこれを聞いて心底腹が立ち、帰宅後、前歯のセラミックスの歯を入れた病院に苦情の電話をしました。その際に、私の所属している大学病院の口腔外科の先生も、そちらに落ち度があったとのことをはっきりと指摘していると述べたところ、セラミックスの歯を入れた歯科医師は、ひたすら「申し訳ありません」との謝罪。友人の弁護士の中には、「相手方の出方次第で、訴訟をおこせばいい」という過激なことをいうものもいましたが、むこうが今後の治療の費用を持ち、向こうのできることは最大限なんでもするとのことだったので、その場は示談?のようなものが成立しました。

 さて、大学病院で膿ほうの治療を受けることになったのですが、この方法が、歯茎の根元の部分を三日月状に切開し、感染している歯の根元+骨を全部削り取る、という痛々しいものでした(この手術は実際に痛いです)。

 手術の直前に医師から以下のような説明があり、この旨の書かれた同意書にサインをしました。

1.歯根を切除するために、手術後歯茎がぐらつき、場合によっては歯が抜けることがある。

2.歯根が短くなるため、歯の寿命が短くなる。

 私は同意をした際、再度腹が立ち「あんなヤブ医者(前歯のセラミックスを担当した歯科医)訴えてやればよかった。」と思いました。

 手術では、二本の歯の根元を同時に削ってもらい、手術は大体一時間で終ったのですが、その後、「中央側の歯の根元にある膿ほうが想像していたより大きかったので、再発する可能性が高いかもしれません」との話でした。これを聞いて大変不安になりました。ちなみに、手術の費用は3万円前後でした(保険適用)。手術自体痛かったのですが、手術後は顔がムーミンのようにはれ、歯茎と上唇の内側を縫っているので、笑うと糸で肉が引っ張られ痛く、さらに、手術を受けた部分の歯にものが当たると、大きな虫歯をたたいたような激痛が走りました。夜中に歯ぎしりなどで、手術を受けた歯に他の歯が当たると激痛が走り、そのたびごとに目が覚めるので、暫くの間は睡眠不足になりました。 

 手術後2〜3週間は2〜3日おきに病院に行き消毒してもらい、3週間後に抜糸をしてもらいました。

 このまま再発しないで欲しいと願っていたのですが、抜糸をした後、一月もしないうちに、手術を受けた部分から膿のようなものが出るようになり、病気が再発しました。しかも今回はそれだけではなく、手術を受けた二本の歯の歯茎が両方さがってしまい、セラミックスの歯の土台になる黒い金属が見えるようになり、歯の審美性が失われてしまいました(つづく)。

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